建築家 安藤忠雄:メモ

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内部は1階から5階まで吹き抜けになっている。ボスである私の席は、吹き抜けの一番底、スタッフの出入りする1階の玄関に面したスペースにある。

この席から大声で叫べば建物内どこにでも声が届くし、階段をちょっと上れば、デスクで働いている各スタッフの様子も一通り見て回れる。そして、何といっても玄関ホールに座っているよなものだから、スタッフのは建物を出入りする際、必ず私の前を通らねばならない。

外部との連絡も、海外とのやり取り以外はEメール禁止、ファックスも禁止、個人用電話禁止とした上で、唯一残された手段である共用の電話5台を私の目の届く範囲にだけおいているから、誰とどんな話をしているのか、トラブルがおきていないかすぐ分かる。

                               序章より

                                

スタッフには、事務所に来る学生に接する上で、注意すべき点を二つ厳しく言っている。
一つは彼らの名前をきちんと「さん」付けで呼んで、目下のものというような横柄な態度をとらないこと。
もう一つは彼らが勉強のために事務所に来ているのだということを肝に銘じて仕事を頼むこと。

学生たちには、未来の可能性を伸ばし広げるために、自分のためだけに勉強出来る権利がある。
彼らが何かを学びたいと意志を示した時、先に社会に出ている私たちには、その意欲に応え、機会と場所を提供する義務がある。
未来を担っていく学生を、社会の財産として守り育てていかないといけない、そう思うのである。

                               序章より

 

独学というとさぞかし自由に、のびのびとやってきたのだろうという人もいるが、冗談ではない。真剣に学び、心に疑問が沸いても、同じ立場で語り合える同級生はおらず、導いてくれる先輩も先生もいない。どれだけ頑張っても、自分がどれ程の成長をしたのか、一体どれほどのレベルにいるのか、測るすべもない。

最も苦しかったのは、何をどのように学ぶのか、というところから独りで考えねばならないとこだった。

                         第2章 旅/独学で学ぶ

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